以前YouTubeに投稿した動画にコメントを頂いていたので少し解説してみようと思います。
楽器店のショールームに展示されていたグランドピアノを調律した際にビフォーアフターで同じ曲を弾いてもらって比較した動画です。
手持ちのiPhoneで撮ったので音声はきれいではありませんが、意外と視聴者の方には違いが伝わっていたようです。
ただ、調律や作業の箇所は120倍速にしたので何したのか分からなかったですよね。
店員さんからの主なご要望は以下の2点。
・タッチが重い → タッチを軽めに
・音色がモコモコ → 音色をクリアーに
持ち時間は2時間。短時間でできる効果的な工程にのみ絞って作業しました。
① 蓋を外しアクションを引き出します。
② ブロアーで細かいホコリを吐き出します。
特に響鳴板や駒ピンに付いていると音の伸びが悪くノイズの原因になることもあるので。
急いでいても掃除は大事。
③ アクションを逆向きに入れます。
ハンマーを手前にして作業しやすいようにするため。
④ 電熱コテにハンマーヘッド用アタッチメントを取り付けます。
⑤ 音色をモコモコからクリアーにするため加熱したコテでハンマーヘッドのフェルトを硬めていきます。
⑥ 鍵盤を1cmほど浮かし接触しているピンに潤滑剤を吹き付けます。摩擦が減るのでタッチが軽やかになり音の抜けも良くなります。
⑦ iPhoneにインストールしたCyberTunerを使いこのピアノの特性と現在のコンディションを調べます。
⑧ 長めのチューニングハンマーを使い急いで(40分ほど)調律を済ませます。
⑨ 7つ程ピンチをダンパーに取り付け、それを目安にダンパーストップレールの調整をします。
ダンパーの無駄な動きがなくなりタッチ感が改善されます。
関連動画:【ピアノ調律】ダンパーストップレール調整
⑩ 仕上げ。音色が硬くなりすぎてしまったハンマーにはピッカーを刺し他の音とのバランスを取ります。
関連動画:【ピアノ調律】硬めを柔らかめへ整音