2023年末より調律師の方向けに事例研究会と題して毎月第一日曜日の夜9時からYouTubeLiveを配信しております。
調律師限定公開としておりますので、ご興味ある方は下記の【新規メーリングリスト登録・解除】から事前にご登録ください。配信前日にリンクを送らせていただきます。
【会のコンセプト】
クレーム・トラブル・失敗談の報告会です。
普段周囲には話せないような大変だった出来事を打ち明けて少しスッキリしましょう。
話を聞いたみなさまは「他者の経験」から学び今後のリスク回避能力と問題解決能力の向上につなげましょう。
日曜の夜ですから一杯やりながらリラックスしてご視聴ください。
【今月の一枚】
ここ最近起こったトラブルの写真を募集します。
些細なことでも大変なことでも、特になければ今日昼に食べたラーメンの写真でもかまいません。
タイトル・日付・ピアノ・氏名
を記載の上、写真を添付してこのメールにご返信ください。送っていただいた中から特に印象深かったものを「今月の一枚」として選出いたします。
【視聴方法】〇PC・〇スマホ・〇Wi-Fi・〇モバイル回線
配信は限定公開になっておりリンクがないとアクセスできません。
メーリングリスト登録している方のみ配信当日にリンクを送信します。
特別なアプリは必要ありません。視聴だけの方はスマホでもパソコンでも大丈夫です。
【ゲスト参加方法】×PC・〇スマホ・〇Wi-Fi・△モバイル回線
ゲストの方はYouTubeLiveコラボはパソコンは非対応のためスマホかタブレットでご参加ください。固定回線にWi-Fi接続のご利用を推奨します。また事例に関する写真や動画がありましたら事前にメールでお送りください。
【新規メーリングリスト登録・解除】
調律師あるいはピアノ技術者で【参加規約】が守れる方であれば承認いたします。
お知り合いを会にお誘いしたい場合はこのメールを転送して下記のリンクをご案内ください。
解除手続きもこちらから受け付けてますのでお気軽に。またいつでも戻ってきてください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSexNzTBCt_Ga6SNd1F_6kjWRsDCw5f8IXAT2Y736e4WPZNgIg/viewform?usp=sf_link
【参加規約】
・配信の録音録画は禁止とさせていただきます。
・クレーム事例を個人が特定できる情報として口外することは禁止とさせていただきます。
・投稿していただいた事例や写真は匿名希望者からの情報として研修会等で利用させていただく場合がございます。
・配信リンクを公開したり他の方へ転送しないでください。
・他の調律師を誹謗中傷する方、けんかっ早い方はお引き取り願います。
【LINEグループ】
新しい試みとして「事例研究会LINEグループ」を開設しました。
・出先での緊急知恵袋
・YouTubeLiveの補足
・ピアノ、工具、技術のディスカッション
に使えればと思います。ひとまず岩手の松村さんと東京の小原さんに入ってもらいましたので大抵のことは答えてくれると思います。
しばらくは試験期間としてルールは定めず運用してみますがマナーを守れない方は削除させていただきます。通知オフ・ブロック・退会は各自ご自由にお使いください。
↓みなさまぜひご参加ください。
https://line.me/ti/g/sZC2buhdJR
【アーカイブ】
事例研究会 11 2024.11.3
宮城県 小田島智さん
・東日本大震災の時、グランドピアノが脚を上に向けて完全にひっくり返ってしまった。仙台市中心部の耐震マンション11階・ボストン156cm・耐震インシュレーター入れてた。他に免震のお客様宅は1時間ほど揺れ続けたけど何も倒れず大丈夫だった。
・本番前に古いレギュレティングボタンが取れた事件。サロンコンサート本番前・1960年製G2。次高音から上に少し詰めようと思い回していったらぽきっと折れた。何とかしなくちゃいけない。スプレーのノズルを3cmくらいに切って左右両隣のレギュレティングボタンの間に折れたボタンを入れて穴を一直線に串刺しにしてテープで止めてしのいだ。
↓たぶんこんな感じ
・猫のおしっこでグランドピアノのアグラフが連続でふっとんだ事件。お嬢さんが外国へ行ってしまいピアノが置きっぱなし。閑静な高級住宅地。カワイKG。蓋も閉まりっぱなし。お客様からピアノが爆発した、と電話があった。それも夜にマシンガンのような音で警察沙汰になった。蓋の上から猫がおしっこしたらしくヒンジを伝って中音低部から低音に掛けてのアグラフにかかってしまった。おしっこでアグラフがサビてしまって上半分が飛ぶ。
『今月の一枚』先月に引き続き小田さんの写真が入選となりました。
「断線寸前」ヤマハG5E(1972年製) 広島県 小田伸二さんの作品
1key~4keyの巻線4本がジン線で弦を緩めて1回転させて張りなおすことにしました。3keyを3/4回転戻してチューニングピンの巻口を見たら断線寸前、さらに1/4戻したら断線しました。 切れた弦の先から7mmのところを右手にペンチ、左手にもペンチで曲げようと こんしんの力で頑張りましたが無理でした。 ペンチを何回も思い切り握って手の皮がむけてしまいました。 なんとか出来ないか考えて、ワイヤープライヤーで少しずつまっすぐに伸ばすことにしました。 なんとか成功しましたが、弦が切れてから1時間30分かかってしまいました。
事例研究会 10 2024.10.6
『今月の一枚』
「原因はゴキブリの卵」2024/9/26 ヤマハYU33(2008年製) 小田伸二さんの作品
調律前に狂い具合の確認で弾くと27Bの音が伸びない。 補助ダンパーがちぎれて巻線にくっついている。低音側から見ると巻線の裏にゴキブリの卵があり、くっついているフェルトをはがすと2本の巻線の真ん中にゴキブリの卵がありました。使用者は4月より大学で家から出た為、半年位ピアノは弾いていない。
事例研究会 9 2024.9.1
千葉県 Tさん
・火災に遭ったピアノを修理したがどうしても焼け焦げたススの臭いを取ることができなかった。何か良い方法ありますか?
・ブライドルテープの交換修理について。よく知られた簡単な方法はオリジナルを除去してキャッチャーの裏に新しいテープを貼る方法だが、この位置に貼ると打弦の際にテープがレギュレティングスクリューに引っかかることがある。
それを回避するためにはオリジナルに近い状態に新しいテープを貼らなければならない。いろいろ試したが現時点ではオリジナルのテープを少し残してそこに継ぐように新しいテープ貼るのが良いと思う。
・水がたまるタイプの除湿剤(原料は塩化カルシウム)の水溶液を被ってしまったグランドの弦を張り替えたが後からサビてしまう。
岩手県 Mさん
・先月のコーティングされたペダルを磨いて日が経ったらかえってサビサビになった、と言う話を受けて。コーティングされているペダルの場合はいったんボックスから外して、アセトンや剥離剤を使ってコーティングを落としてからバフ掛けなどで磨いた方がよい。
焼付塗装用の塗料は炉に入れて熱することで結晶化して強くなる。
錆びの進行がひどいと表面がクレーター状になっているような場合は粗目のペーパーで均してからの方がよい。
ヤマハの屋根ヒンジもクリアラッカーで塗装されているので磨くのが大変。外して専用の当木に固定して磨いている。ネジは長いサイズのものに入れ替えている。
事例研究会 8 2024.8.4
東京都 Yさん
・ホールのフルコンのダンパーペダルが雑音。ハーフペダルが上手な演奏者はいったん上げてから弦に触れるところまで下げるので、ペダルを戻す時のノイズを気にする。本番前に気が付いてペダルボックスを外してペダル軸受けの汚れを落として事なきを得た。
神奈川県 Hさん
・預かった象牙鍵盤を漂白する際に、たまたまあった高級和紙を使ったらその和紙がわずかに雲龍のような模様の繊維になっていて、当たり具合でその模様のように漂白されてしまった。普通の和紙でやったら少し良くなったが年に一回そのお客様のところ行くと今でも龍がいて気になる。高級だからいいわけではなく漂白には安くてのっぺりしたものがベスト。
・新人の頃にペダル磨きをするように言われ、表面がコーティングされているタイプのペダルを一生懸命スチールで落としたら真鍮にも細かい傷をつけてしまったようで、出荷の時はよかったけど1年後に伺ったらかえってサビサビになってしまっていて落ち込んだ。
事例研究会 7 2024.7.7
東京都 Yさん
・高校卒業して入社したピアノ工場で初日にいきなりアップライトのダンパー着けをやらされた。練習かと思いきや翌日夕方に出荷されて行った。一週間後、販売店から「ダンパーがみんな落っこったよ!」とクレームが入った。
・お金持ちのお客様がロンドンでドイツのアップライトを買って帰国。400万くらいした。屋根に蓋付き陶器が載っていて降ろそうとしたら蓋が外れてスローモーションでピアノに当たって木端微塵になった。400万のピアノを傷つけて人生終わった、と思っていたら奥様から「Yさん、これ(陶器)はこのピアノが3つくらい買えます」と言われた。
福岡県 Sさん
・一級塗装士のSさん。特約店、中古販売店、運送屋からの依頼で傷を直す。なるべくピアノごと工房に持ち帰ってもらうが、やむを得ずお客様宅にて作業することもある。基本的にクレーム処理なのでコミュニケーションが大事。初動を間違えると大クレームに発展する。電気を消されたり、塗料の臭いが健康に問題ないのか、などと言われたりする。
・木目の色柄は木工専用の油性ステインを使う。茶・赤・黄・黒・白を混ぜて色を作る(調色する)。
事例研究会 6 2024.6.2
愛知県 Mさん
・養成機関の教員をしているが、生徒から鋭い質問が来ると大変。「質問する前に自分でちゃんと考えたのか?一日あげるからもう一度考えてから質問に来なさい」、と言って時間稼ぎし、その間に必死で調べたり考えたりする。例えば、
① 塗装 ラッカーにポリを盛るとなぜいけないか。
② 整調 キャプスタン前後で働きがなぜ変わるのか
③ 調律 音叉取り 33Fと音叉の速さを33Fと37Aに作っても2セント低くなる
④ 塗装でブラッシングしちゃう どしたら良い
⑤UPなぜ右の弦は1本唸りが少ないことが多いのか。
⑥ 白鍵基準寸法 ヤマハはUPは上面とGPは下面でみる理由
⑦ バックストップで音は変わるのか
⑧ センターピンの適切なトルクや押し込み固さ
⑨ アクション部品の位置出し アクションモデルを組み立てていた時代
⑩ 電話で調律トレース可能か(マンガ ピアノのムシより)
など。
なかなか難しい質問揃い。最近の生徒はちゃんと理由を説明できないと納得してくれない。
⑥については配信中に静岡県のFさんから有力な証言が得られましたが、後日、埼玉県のMさんが上司を通じてメーカーの技術者に聞いてみてくれたそうで、それを補強する証言が得られました。以下引用。
“GPは過去に象牙や人工象牙を使用しており、汚れや変形等があった為「削る事前提」で考えているから白鍵の下面で基準をとるそうです。
対してUPは昔から樹脂の為、強度的に変化が少ない為上面で基準をとっている。という回答でした。”
神奈川県 Kさん
・嘱託先の楽器店が販売した中古アップライト(コルグ付き)の納調に行ったが、試弾の際に指摘されたノイズが直っていないまま納品されたためクレームになり結局全額返金で返品。すぐに対応したためお客様から信頼は得られたため知り合いの事務所の中古アップライトを購入していただける運びになったが、出荷前に事務所の調律師が急死して納品が2カ月遅れた。やっと納品したら当日「鈴の音がする」と連絡があった。すぐに行ったら弱音ペダルのターンバックルのナットが緩んでいた。その後も別のノイズが出たり、契約書がなかったなどクレームがあり大変だった。ひとまず収まったがその間お客様のアイコンが電話に表示されるだけでギョッとしてしまうほどだった。
事例研究会 5 2024.4.28
埼玉県 Tさん
・鍵盤蓋のロゴを磨いたら「私は黒く錆びたのが大好きだったのに」と言われた。自分がキレイと思うことをお客様が必ずしもキレイと思うわけではない。それは音も同じで、私たちはお客様の求める音を聞きながら仕事をしないといけない。
・コンサート開演前に拾い調律をしていたら「もっとキレイに」と欲が出た。開演10分前に高音弦を切ってしまった。慌てて張った。マネージャーには切れたことをピアニストに伝えないようお願いした。不安にさせないように。
・他の技術者がグランドでサポート(ウィペン)交換したアクションの整調をした。ほぼ工程を終えて最後に低音のスプリング調整をしているといくら強めてもハンマーが上がってこない。よく見たら順番が逆で低音側に高音用の細いスプリングのサポートが付けられていた。全部付け直し。スタインウェイの場合、スプリングの太さが変わる30と31、50と51、70と71にスタンプが打ってある。
・ハンマーシャンクはしり直しでアルコールランプを使っていたらこぼしてしまいハンマークッションレールがぼうぼうに燃えハンマーをススで黒くしてしまった。クッションレールは貼替え、ハンマーはやすりで削ったりして目立たないようにした。お客様には内緒。
・座右の銘「私は失敗したことがない。 ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」エジソン
事例研究会 4 2024.3.31
東京都のOさん
・学校の調律にチューニングハンマーを持たずに行ってしまった。慌てて電車で店に引き返し、こっそりハンマーを持ってタクシーで戻った。
・お客様宅に向かう電車に工具カバンを忘れた。駅員に伝えたらそこで待っているよう言われた。しばらくしたら折り返してきた車両の中にあった。
・前日グランドだけだったので鞄を軽くするためアップライト用の工具を外したら当日木ウェッジを忘れてしまった。お弁当用の割りばしと輪ゴムを使って即席のウェッジを作って凌いだ。
仙台市のIさん
・地震対策では、アップライトはニュースーパーインシュがおすすめ。ただしプラスチックの皿は地震以外でも割れるのでご注意。
・グランドは滑るタイプのピアノシュレーターがおすすめ。ゴムのストップタイプは飛び出してしまったり、ピアノ脚が壊れてしまったりする。
・グランドは大屋根が張り出しているので壁に当たると丁番が変形したり、ネジが抜けたり、リムが割れてしまったりする。震災後は丁番を治すセットを持ち歩いていた。ベーゼンのように低音側のリムにガードが付いていればよかったのに。
事例研究会 3 2024.2.25
東京都のOさん
・グランド響板割れのオーバーホールをした。イタリア製の響板ということだがひどい割れ方をしていた。特に鉄骨の下になる普段見えないようなところには節のある木材が使われていた。
静岡県のIさん
・調律の際やズルピン修理の際に断線をしてしまうことがあった。スプライス(弦つなぎ)を習得してからはその場で修復できるようになった。
『ピアノの探求』にスプライスの方法が載っています。
https://mother-piano-tuning.com/books.html
盛岡市のMさん
・東日本大震災の日は釜石市にいた。大変な目に遭ったが無事だった。
後日お客様から津波で海水に使ったグランドの修理相談を受けるが塩に浸かっているのでメーカーからも無理と言われ断った。その後、別の業者がそのピアノを直したようだが、その後も弦がバツバツ切れているらしい。塩害のピアノは弦を張り直しても駒のところから切れる。その他にも何台か直されたピアノを見ているが、ちゃんと直っているのを見たことがない。
事例研究会 2 2024.1.28
福島県のTさん
・仕入れたアップライトの駒が割れてしまった。最初接着剤で固めたが弦を張ると割れてしまうので、駒上部を木材屋に作ってもらい自分で穴あけ加工し交換修理した。
・グランドの最低音のアグラフが調律中に飛んだ。
盛岡市のMさん
・ホテルの結婚式場のグランドの最高音域の駒が割れてしまった。F7から上が使えないので必要な時は別のピアノをレンタルしている。
・除湿剤が破裂して内容物がかかったところが腐食した。グランドではアリコートブリッジが溶けたり、アップライトでは底板がめくれあがったりした。
・底板が空いているピアノにネズミが入るので底板を自作した。
事例研究会 1 2023.12.30
高知県のIさん ★2023年クレーム大賞受賞★
・おかしな狂い方をしたアップライトをピッチ上げしようとしたら鉄骨の次高音部が割れた。お客様に状況を説明し、下がったピッチのままで調律した。
https://youtu.be/l1XE0JmGf1E?si=AYMIIpPfvDLTVEc7
福岡県のSさん
・調律後の試し弾きでジャズのフレーズを弾いたらお客様(クラシックのレスナー)が怒り出して依頼元にまでクレームを入れられた。
千葉県のTさん
・狭い住宅街のお客様宅に社用車で伺う際、軽自動車が空いてなくやむを得ずアルファードで。隣家でバンパーを擦ってしまい、留守だったため翌日上司と謝りに行った。
宮城県のIさん
・ショールームで白いピアノの上前板を床に置いた際にヒビを入れてしまった。自分で塗料を調合したが難しい。
愛知県のMさん
・最近の養成学校の入学生はドライバーを持った経験がなくブラケットのボルトもうまく締められなかったりする。
東京都のTさん
・お客様宅でブッシング貼替作業中に電熱コテが壊れショートしてブレーカーが落ちた。パソコン作業中だったご主人が怒り出し、損害賠償請求すると言われた。