グランドピアノのアクションの仕組みを時系列にまとめてみました。
ダブルエスケープメントにより一秒間に14連打を実現しています。
1. ハンマー始動

①キャプスタンが上昇しウィペンを持ち上げます。
②レペティションレバーがハンマーローラーを押し上げ、ハンマーが上昇します。
2. ダンパー始動

③鍵盤先端がスプーンを押し上げ、ダンパーが上昇し弦を開放します。ダンパーの重さが加わった分タッチが重くなります。
3. レットオフ開始 (エスケープメント)

④レペティションレバーがドロップスクリューに当たって上昇が止まります。
⑤ジャックがレギュレティングスクリューに当たって運動の方向が上昇から右方向への回転に変わります(レットオフ開始)。ジャックがローラーから抜ける摩擦のためさらにタッチが重くなります。
4. レットオフ完了・アタック

⑥ジャックの先端はハンマーローラーの下から外れて指にコツンと感触があります(レットオフ完了)。これ以降をアフタータッチと言い、もはや指の力をハンマーに伝えることはできなくなります。
⑦ハンマーは鍵盤とウィペンの動力から切り離されますが慣性で打弦します。
5. キャッチ

⑧跳ね返ったハンマーのローラーはレぺテイションレバーを押し下げバックチェックに捕えられて止まります。この時レペテイションレバーのスプリングにはダブルエスケープメントのための力が蓄えられます。
6. 次の打弦準備 (ダブルエスケープメント)

⑨鍵盤をわずかに戻すと、ハンマーはバックチェックから解放されます。
⑩蓄えられたスプリングの力でレペティションレバーは上昇し、ハンマーローラーを押し上げます。
⑪スプリングの力でジャックは左方向へ回転し、ハンマーローラーの下に戻ります(ダブルエスケープメント)。これにより次の打鍵が可能となります。
ダブルエスケープメントとは「鍵盤を完全に戻さなくても、次の音を鳴らせる仕組み」
1821年にエラールがこれを発明したことで、ピアノは「おっとりした楽器」から「超絶技巧を可能にする現代のピアノ」へと進化しました。このタイプのアクションをフランス式アクションとも呼びます。
ベートーヴェンの晩年、ショパン・リストは少年時代のことです。
エラール以前のピアノや現代でもアップライトピアノは一度弾いた後、鍵盤を一番上まで戻さないと、次の音が鳴りません。そのため速い連打には限界があります。
それに対してダブルエスケープメントアクションのピアノは鍵盤を半分くらい戻したところで次の打弦の準備を完了します。これにより超高速の連打(一秒間に14回)や、繊細なトリルが可能になります。
本当に「一秒間に14連打」もできるの?という方に。
